また、アヤノさんは「子どもが苦手だということもひとつの理由」だと言う。

「もちろん、子どもはかわいいと思うし、友だちの子どもと遊べば楽しいなあ、と思います。ただ、自分に子どもが生まれたとき、心からかわいいと思ってきちんと育てられる自信がなかった。そんな気持ちで子どもを産むことは、とてもじゃないけど前向きに考えられなかったんです」

 子どもをきちんと育てられるかどうか、誰もがわからないところだ。

「子どもと一緒に親として成長していきたい」と思うのも正しいし、「自信が持てないなら子どもは持たない」と決意するのも正しい。その結論に誰かが何かを言うのはおせっかいがすぎる。

 ただ、アヤノさんたちは、自分たちの両親には「子どもを持たない」とは明言していないという。

「両親の年齢も年齢だし、わざわざ言ってショックを与えるのもどうかと思って『がんばってはいるんだけどね』ぐらいの伝え方にしています。幸い、僕も妻も真ん中っ子でほかのきょうだいのところには子どもが生まれている。孫はいるので、その点は少し気が楽かな」

 このまま、変わらずふたりで仲良くやっていける。そんな夫婦の関係に少しだけ波風が立ったのは昨年のことだった。

夫が無職、妻が鬱に
それでも関係は揺らがなかった

 夫のアキラさんが会社を辞めた。

 働いていたコールセンターで、部下から恫喝(どうかつ)まがいの嫌がらせがあり、会社がきちんとした対応を行わなかったことが原因だった。

 アヤノさんが言う。

「正直、その時期は部下からどんな危害を加えられても分からないという状況でした。すでに私はその会社は辞めていたのですが、上司とは顔見知りだったので抗議もしたけれど受け入れてもらえず。そんなストレス下にさらされているぐらいなら……と夫が会社を辞めることに私も賛成しました」

 有給消化後、転職活動を……と思いきや、アキラさんは意外な行動に出る。

 昔からパチンコが趣味だったアキラさんは、しばらくの間、パチプロとしてやっていくと言い出したのだ。