たとえば、「自然体験」である。

 雄大な自然をツアーなどで体験する、いわゆる「アドベンチャーツーリズム」が世界的に大人気だ。『Adventure Tourism Market – Global Opportunity Analysis and Industry Forecast,2017-2023』によると、市場は2016年度に日本円で約49兆円だったが、2023年には147兆円まで拡大すると予測されている。

 この成長の背景にある要因として、「単価が高い」ということが大きい。『Global Report on Adventure Tourism 2014』によれば、アドベンチャーツーリズムの旅行者の消費額は約3000ドル。現在の訪日外国人観光客の消費額の2倍以上になっているのだ。

世界に誇れる「自然」がありながら
なぜ観光客を呼び込めないのか

 では、そんな成長著しいこの分野を日本の観光がしっかり握っているかというと、残念ながらなかなかうまくいっていない。

 観光庁の『訪日外国人の消費動向 2019年年次報告書』によれば、「訪日前に期待していたこと」で「自然体験ツアー・農漁村体験」(複数回答)と回答した外国人はわずか6.3%、多くの外国人にとって日本観光は「日本食を食べること」(69.7%)や「ショッピング」(52.6%)というイメージなのだ。

 観光庁が20の国籍・地域の人々を対象に実施したウェブアンケートでは、海外旅行の際に「自然に由来する体験」を求める人が多いことがわかっている。しかし、いざ日本へ旅行しようとなると、途端にそのような願望を抱く外国人はガクンと減ってしまうのだ。

 なぜ、こうなってしまうのか。

 日本にも豊かな自然があるということがまだアピールできていないということもあるが、やはり「環境整備」がなされていないことが大きい。日本人旅行者も、風光明媚なスポットで写真を撮ったり、地域の名物を食したりするというスタイルが一般的で、「自然体験」という分野はまだマイナーだ。そのため、観光業者側もそこまで本腰を入れて環境整備をせず、さらにマイナーになるという、負のスパイラルに陥っているのだ。