たとえ欧州一の富豪ベルナール・アルノー氏が、米高級宝飾ティファニーに昨年162億ドル(約1兆7660億円)で買収提案したことを後悔していたとしても、無理のないことだろう。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)の影響で、アルノー氏がこの買収で得をする可能性が遠のいているからだ。ティファニーの株価は2日の取引終了直前に9%下落した。米アパレル業界紙ウィメンズ・ウエア・ デーリー(WWD)が、仏高級ブランドグループLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンによる買収が「不透明」になっていると報じたためだ。投資家は既に懸念を示していた。ヘッジファンド調査会社ノーススター・リスクのデータによれば、買収提案額とティファニー株価の差から算出した破談の確率は過去数週間、11~18%で推移。昨日はそれが36%に跳ね上がった。