テレビのクイズ番組は見れば、大金を勝ち取るチャンスを目の前にすると、人間がバカなことをやらかすことがわかる。現実の世界では、早口の司会者の代わりに「ミスターマーケット」がいて、制作会社の代わりに米連邦準備制度理事会(FRB)が大金を用意してくれる。だが、人間の愚かさだけは決して変わらない。今であれば視聴者への質問はこうだ。全米の都市が燃やされ、中国と欧米諸国との間で香港が火種となり、新型コロナウイルスの感染第2波がなお現実的なリスクである状況で、なぜ株式市場の上昇が続いているのか?ロックダウン(都市封鎖)が解除された「メインストリート」に催涙ガスが充満する中で、「ウォールストリート」が宴(うたげ)を楽しむのを目にすることは、極めて居心地が悪い。強気派の理論は、投資家にとって、こうした問題は株価の好材料と比べるとほとんど重要ではないというものだろう。ビジネスは営業を再開する一方、FRBは異例の支援を提供しており、先進国では政府が国内総生産(GDP)比11%相当の刺激策を提供している(格付け会社フィッチ・レーティングスの分析)。
「ミスターマーケット」は世界の混乱なぜ無視?
有料会員限定
あなたにおすすめ