テレワーク,悩み写真はイメージです Photo:PIXTA

新型コロナウイルス感染防止のため、急遽テレワークを導入した多くの企業では、メリットを実感する一方で、さまざまな問題に直面しています。今後、テレワークをうまく組織に取り入れるには、こうした問題を1日も早く解決することが大切です。そこで、今回からこれまで数多くの企業における組織の問題を解決してきた、リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタントの武藤久美子さんが、テレワークにまつわるさまざまなお悩みについて、解説していきます。

47%がテレワークを実施
「今後も実施したい人」は8割超に

 外出自粛要請が出された3月、緊急事態宣言が発令された4月、5月には、未経験者も含めたとても多くの人が急激にテレワーク(在宅勤務)に移行しました。

 リクルート住まいカンパニーが5月22日に発表した『コロナ禍を受けたテレワークの実態調査』によると、会社員/公務員の47%がテレワークを実施しており、昨年11月調査時と比較して30ポイントも増加する結果になりました。そして、「今後もテレワークを実施したい」と回答した人の割合は84%にも上っています。

テレワーク実施率参照:『コロナ禍を受けたテレワークの実態調査』(リクルート住まいカンパニー)
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 小社リクルートマネジメントソリューションズが行った『テレワーク実態調査』でも、テレワークによって、「生活の質や家族との関係性の質」や「自身の身体的健康度」「自身の精神的健康度」が高まったと回答している人が、低下したと回答した人の割合を大きく上回りました。

テレワーク環境における生活の変化 参照:『テレワーク実態調査』(リクルートマネジメントソリューションズ)
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 また、テレワークに習熟すると、このようなライフの質に加えて、仕事の質も上がったと回答する人が増えてきます(「ワーク・ライフ・バランスの変化タイプの分布」のうちタイプ1が該当)。

テレワーク歴と実施頻度別ワークライフバランス参照:『コロナ禍を受けたテレワークの実態調査』(リクルート住まいカンパニー)
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 このように、突然移行したにもかかわらず、テレワークに一定の効果を認めている人が少なくありません。

 これまでテレワークの導入に二の足を踏んでいた企業の多くは、「うちの業務では無理」「メリットはない」など、不安や懸念を持っていました。しかし、コロナ禍で無理やりにでもテレワークを実施し、結果として「意外とうまくいった」ことで、これまでの不安や心配が杞憂だったと実感したはずです。

 日本の伝統的な企業は、テレワークに限らず改革に保守的で、これまでは法律などの外圧によってようやく重い腰を上げるところがありました。今回は、コロナという外圧がテレワーク拡充の大きな後押しになったといえるでしょう。