先週の総括

 週初の日経平均は前週の米国株の大幅安と110円台に突入した円高を嫌気して急落して始まった。8月17日に付けた年初来安値を更新、投資家心理は一気に悪化した。その後小売り最大手ウォルマートが好決算を発表したことなど受けて米国株式が上昇、日経平均も360円高と大幅反発したが週末にかけて売られた。

 一方マザーズ指数は前週比1.8%上昇した。前週に売られたネット関連銘柄が値ごろ感から再び物色されたためだ。業種別には銀行株・保険株など金融株がしっかりした展開。

今週の予報

民生電機:薄型テレビ競争激化で「曇」

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 今週の日経平均は引き続き下値もみ合いとなりそうだ。市場はサブプライム関係の金融商品がどの程度の評価損を抱えているか疑心暗鬼になっている。特に米国金融機関の公表する評価損が一段落するまで神経質な展開になろう。

 米国クリスマス商戦の影響を受けやすいのは民生電機株だ。民生電機とは電機業種の中でテレビ・DVD・白物家電などを主力に扱う銘柄群で、ソニー・松下・シャープあたりが代表銘柄だ。

 電機株は1980年代日本の花形であったが2000年以降は業績株価とも冴えない。2003年の日本株式市場の大底から比較すると、日経平均が約2.2倍上昇しているのに対し、松下2.3倍、ソニー1.9倍、シャープ1.4倍となっている。

 日本が得意としてきたアナログ技術がデジタル技術に置き換わり、また基幹部品を内製化しないで外部から調達する水平分業モデルへの変化により、誰でもどこでも組み立て可能になったため、日本製品の優位性が衰えたと言われる。

 こういった状況下では競争激化により製品価格が下落していく。中間決算では薄型TVが業績の重荷になる例が目立ち始めた。北米の消費減速に加え、販売価格も急落している。日立・ソニーなど中間決算段階でテレビ事業は赤字を計上した。現在シャープ・松下は勝ち組と言われているが、プラズマ/液晶に続く、有機ELを使用した「第3の薄型テレビ」の出現も予想され、今後の状況は不透明だ。

 白物家電が利益の下支えをしているようだが、株式市場が注視しているのはテレビ事業、特に薄型大型テレビだ。製品単価の高いテレビ事業の収益性が回復するまでは、民生電機の天気図は曇のままである。

今回のポイント(まとめ)

 家電製品のデジタル化は日本のお家芸であったアナログ技術の優位性を奪い、家電製品は急激にコモデティー化した。各社はテレビを初めとして高付加価値化に邁進しているが、足元の状況は苦戦している。