5月の米雇用統計は予想外の好転を示した。他の労働市場関連の統計との整合性を考えると不可解な部分は残っているが、財政資金の大規模な投入と経済再開の影響が雇用に表れ始めているようだ。
とはいえ、手放しで喜べる状況ではない。過去10年の非農業雇用者数の推移を見ると、2010年6月から今年2月にかけて2200万人増加した。それが3~4月の2カ月間で2210万人も減少してしまった。5月は250万人の増加だが、コロナ禍で失われた雇用の89%は取り戻せていない。
米政府の給与保護プログラム(PPP)が雇用を下支えしている面もある。だが、今回の失業率改善で「財政赤字拡大を恐れる共和党は制度継続を嫌がるのではないか?」という懸念も出ている。