サラリーマンでありながら海外の映画祭でグランプリを受賞した長久允氏。その思考法と脚本術を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』が発売となりました。佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさんも大絶賛の同書から、抜粋・再構成して特別公開します。
「お前の企画って暗いから」
CMプランナーになって、「超ヒットCMをガシガシ作るぞ!」と意気込んでいたのですが、そう簡単にはいきませんでした。そんなに甘くないですよね、世の中って。
「お前の企画って暗いから、もっと明るい案を出さないとチームから外れてもらうよ」
「このセリフは世界観あって気になるけど、商品購買のためにはいらないね」
「お前はサブカルだからお前がおもしろいと思うもの、じゃなくて、たくさんの人の心が動くものを作らないとダメだよ」
などなど。これらは実際に先輩方からいただいたお言葉です。
広告を作る上で、全部正しいと思います。
CMは明るくみんなのもの。私はその領域でうまく企画することがどうしてもできませんでした。
今となっては私の得意なフィールドと広告というものとの相性が悪かったんだなと思えますが、当時は悩み苦しみました。心を消して死に物狂いで頑張っても、結果がついてこない日々が続きました。
大手CMからスーパーの店頭ビデオへ
ということで、大企業のCM作業からフェードアウトしていった私は、スーパーの店頭ビデオを作る、という比較的小規模な仕事に移行していきます。
店頭ビデオの仕事はやりがいがありました。
タスマニアビーフのステーキをどう撮ったら一番おいしそうに見えるか? どの距離感で撮ったらスローモーションでジューシーさが伝わるのか? どんな音をつけたら興味のない買い物中の人が振り向くのか?
テレビCMとは違って(本来は違ってはいないんだけど)私の作った映像を見る、お客さんの顔がイメージできました。その映像を見て、どういう気持ちになってほしいかが、明快でした。
私の作った店頭ビデオを流すと、今までのものよりも売れ行きが上がり、クライアントさんは喜びました。
CMはうまく作れないけれど、コピーライターの賞は獲れないけれど、広告の雑誌には載らないけれど、クライアントさんが喜んでくれてるし、とても幸せな仕事だな。そう感じていました。
そう自分で自分に言い聞かせて、たくさん映像を納品しました。
まずひとつ、自分が「心から最高だ」と思えるものを作る
でも結果的に、10年ほどで体力の限界がきて、動けなくなりました。
そこで、学生のとき映画監督になりたかったことを思い出したのです。
どうして私は、こんなにも、死にそうになりながら、命を捧げながら、誰かが作った商品を「なんとなくいい」と思わせることに時間を使っているのだろうか。
自分が作りたい物語があったはずなのに。
自分には伝えたいメッセージがあったはずなのに。
どうして、タスマニアビーフを、ペットボトルのお茶を、発泡酒を、スマホゲームを、スナック菓子を、ゼリー飲料を、携帯電話の学割プランを、伝えることに、私の命をこんなにもすり減らして生きているのだろうか。と。
32歳でそれに気づいてから、有休10日で映画を撮り、映画祭でグランプリをいただけました。今では、ハリウッドといくつものプロジェクトで脚本の仕事をしています。
映画について細かい技法はたくさんあれど、何と言っても、この遠回りがなければこの気づきはなかったと思います。
それは「それっぽさ」の反対にある場所。他者の目を気にせず、評価を求めずに作ることが、自分が本当に求めた道にたどり着く方法だったのです。
だから今、同じような悩みに直面している若いクリエイターに会ったら私は言います。
「その反対側に走って行け!」と。
とにかく「まずは自分が最高だと思えるものを作ってみる」ということ。すべてはそこから始まります。
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佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん推薦!
それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

これからの「世界のスタンダード」を伝える
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……