本来アトピー性皮膚炎は子どもの病気でした。近年、大人になってもよくならず、ときに重症化する患者さんが増えています。Withコロナ時代、生活の変化によるストレスで、症状が悪化するリスクは高まっています。第6回(最終回)は、慢性、難治化した成人型アトピー性皮膚炎に「森田療法的アプローチ」を実践し効果をあげている、細谷律子先生にお話を伺います。(談/細谷皮フ科院長 細谷律子、構成/医療・健康コミュニケーター 高橋 誠)
就職先のストレスでかゆみが悪化
20代前半の女性の症例
Aさんは3歳のころ、近隣クリニックでアトピー性皮膚炎と診断されました。当時は治療で改善し、小康状態を保てていました。高校3年の夏、進路のことで悩むと一夜で悪化し、近隣クリニックの紹介で細谷医師を受診しました。
内服、外用の治療を続けながら大学に合格。かゆみも落ち着いて皮膚もよい状態が続いていました。
しかし、卒業後就職すると、勤務先の会社は残業が多くハードで、セクハラやパワハラにもあってストレスが溜まり、数カ月とたたないうちに急に皮膚炎がひどくなりました。そして半年で退社し、ひきこもり状態が続いていました。