全米で話題の若手エリートがこぞって取り入れているライフスタイル、早期リタイアして自由に暮らす生き方「FIRE」(Financial Independence, Retire Early)。その第一人者で、ニューヨーク・タイムズなど多数メディアで取り上げられているクリスティー・シェンとブライス・リャン夫妻の初の著書となる注目の1冊『FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド』がついに発売となった。本連載では、本書の内容から、最速で経済的な自由を手に入れるための方法をお伝えしていく。

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永遠に旅行を続けることができる!

 1年間も旅行すれば、旅行したいという欲求は落ち着くなどという通説は私には当てはまりませんでした。

 身を粉にして働いた10年間はつまらない時間でした。出社し、退社し、家に帰り、同じことを繰り返す。

 早期リタイアする前年に私が携帯電話で撮った写真は2枚だけでした。1年間でたった2枚です。記録に残しておく価値のある思い出がそれだけだったのです。

 ところがリタイアした翌年には、私の携帯は写真を撮りすぎてメモリーが足りなくなりました。毎日が新鮮だったのです。

 私はついに自由の味を知りました。いつまでもそれを味わっていたいと思っています。

 1年間の世界旅行が終わり、家に帰る飛行機に乗ったとき、私は大きな不安を抱えていました。

 夫の母親の家に置いてもらっていた昔のベッドに横になりながら、青い空を眺めている籠の中の鳥のように感じました。時差ボケのせいでなかなか眠れません。

 私は旅行の間に使った通貨(ドル、ユーロ、円)ごとに分けて支出の記録をつけていたラップトップを取り出すと、夫を起こさないよう静かにキーボードを叩き、おもむろに支出をすべて足し合わせてみました。

 「ウソでしょ?」

 私は思わず大きな声を出してしまいました。

 「どうしたんだ?」

 夫がぶつぶつ言います。

 「何か問題でもあったのかい?」

 私は彼の言葉を無視して、あらゆる数字と式を何度も何度も繰り返し確認しました。絶対にウソ。そんなわけない。

 「どうした?」

 彼は暗がりの中でメガネを手探りしながら、起き上がりました。

 「何かやらかしたのか? お金を使いすぎちゃったとか?」

 私は首を振りました。

 「じゃあ、何だよ」

 私はスクリーンを指さしました。総額約4万150カナダドル。

 私たちの世界旅行にかかった費用が、家(カナダ)にいるときの生活費と変わらなかったのです。

 私たちは3大陸、20ヵ国を訪れました。地球をまるまる1周したのです。私たちが成しとげたことは、この世界でほんのわずかな人にしか与えられていない特権です。その費用がカナダで暮らす生活費と変わらないのです。

 夫は急に目を覚ましました。私と同じように、頭の中でギアがまわり始めています。

 「これが何を意味するのか、わかってるよね?」とブライスは尋ねました。

 私はうなずきました。わかっています。

 私たちは世界旅行を続けられるのです。永遠に。