熱をはかる様子写真はイメージです Photo:PIXTA

初夏にかけて高齢者がかかりやすいのが、意外にも屋内での熱中症や放熱機能が失われて体温が上がる「うつ熱」だ。特にうつ熱は「原因不明の発熱」とされやすく、「腫瘍熱(癌が原因で起きる熱)」や感染症による発熱と間違われやすいので注意が必要だ。そこで、千葉大学附属病院総合診療科の生坂政臣教授に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

夏本番前に増えてくる
原因不明の発熱

 6月1日、日本救急医学会、日本感染症学会、日本臨床救急医学会、日本呼吸器学会の4学会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を踏まえた熱中症予防に関する緊急提言をまとめ、発表した。

 それによると、熱中症の多くは高齢者が屋内で発症しており、特に日常生活の中で起こる「非労作性熱中症」(スポーツや肉体労働などの筋肉運動をしていないのに発症する熱中症)が多く見られるという。

 非労作性熱中症は、周囲の人に気付かれにくく対応が遅れる危険性が高いため、高齢者本人も、周囲の人も十分注意する必要があるのだが、「(高齢者をしっかりと守るには)医者さえも診断がつかないことがある『うつ熱』についてもっと知ってほしい」と千葉大学附属病院総合診療科の生坂政臣教授は説く。