米中の反目は、一部の側面では米国に高くつくだろうが、金融面では中国の方が失うものが大きいのは明らかだ。ドルは依然、国際金融システムの鼓動する心臓であり、ドルの調達システムのコントロールは敵を罰する恐ろしいツールである。それでも、米政府がそのツールを過剰に利用すれば長期的なリスクとなり、そのリスクは国内政策の失敗によってさらに悪化することも考えられる。米国が中国株の保有を抑制していることは新聞の見出しを飾ってきたが、中国の資本市場に深刻な打撃を与えるというよりも、中国の世界的野望をいらだたせる意味合いが強い。中国国内に上場するA株のうち、外国人投資家が保有する割合は3.5%にすぎない。米国にとって本当の「バズーカ砲」は中国の銀行に対する制裁だろう。昨年、名称非公開の中国の銀行3行が、北朝鮮に対する制裁の捜査を巡り法廷侮辱罪とされたため、米国から罰を受ける可能性が出てきた。上院に提出されている法案も、香港の自由をないがしろにする銀行への罰則をちらつかせている。