米大統領選の民主党候補指名を確実にしているジョー・バイデン前副大統領は、その長い政治キャリアにおいて最も重大な決断の1つに直面している。パートナーとなる副大統領候補選びだ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やリセッション(景気後退)に加え、5月にミネアポリスで警察官が丸腰の黒人男性ジョージ・フロイドさんを殺害した事件を受け、政治情勢は今年に入って一変した。フロイドさんの死をきっかけとする全米のデモは、警察と人種問題を2020年大統領選の最前線に押し上げた。そうした問題に加え、民主党内の進歩派やマイノリティー(少数派)、女性、より中道的なエスタブリッシュメント(既存の支配層)の優先課題が多様なことから、バイデン氏は難題と向き合わないといけない。有権者の熱意が決定打になりかねない大統領選挙において、誰を副大統領候補に選んだとしても、民主党の主要な有権者の一部を失望させることになる公算が大きいことだ。