「昔から大人向け文房具はありましたが、それほど市場は大きくありませんでした。しかし、15年ほど前から会社の経費削減のために文房具の支給をやめる企業が増えたのを機に、『ふせん』や『ボールペン』は個人で用意するものに変わった。それ以来、文房具メーカーは『自分のお金で買うなら好きな文房具を持ちたい』という人のニーズに応えて、大人向け商品の開発に力を入れるようになりました」

 大人の文房具は、会社の事務用品から、よりパーソナルなものへと変わった。近年は、“コンプレックス解消型”の商品がヒットしている、と石津氏は語る。

「最近で言えば、パイロットの『フリクション』に代表される “消せるボールペン”が大ヒットしました。そのほか、コクヨのソフトリングノート『COLORFUL』は、紙をとじるリングを柔らかい素材にして、筆記時に手がひっかかるストレスを解消して人気を博しています。どちらも、ユーザーの『こうだったらいいのに』という希望をうまくくみ取った文房具ですね」

 コンプレックス解消型文房具の開発には時間がかかるものの、日本の文具メーカーの技術力が商品化を実現しているという。さらにヒットに必要なのは「デザイン性の高さ」だと、石津氏。

「かつては『日本の文房具は機能性が高いけどダサい』と言われていたんです。無骨なデザインが多く、色も青や黒ばかりで、女性からの支持が得にくい文房具ばかりでした。しかし、個人の好みが重視されるようになった今、若者の感性や女性の意見は必須。大ヒット商品を生み出している文具メーカーは、20代、30代の若手社員や女性社員の声が積極的に採用されている印象ですね」

 社内の風通しのよさが、ヒットにつながっているようだ。

刃を閉じなくても切り進められる
変形型スリムはさみ

 最新の文房具は「部下との会話が弾むコミュニケーションツールにもなる」と石津氏。そこで文房具にあまりなじみがないビジネスパーソン必見の “進化系文房具”を紹介してもらった。