ドナルド・トランプ米大統領が置かれた政治的な立場を要約するのは、非常に簡単だ。同氏の目指す再選は、極めて厳しい状況に陥っているということだ。米政治サイト「リアルクリアポリティクス」の最新の世論調査によると、トランプ氏は民主党のジョー・バイデン前副大統領に8.1ポイントの差をつけられている。勝利の行方を握る6つの激戦州でも、ほぼすべての世論調査でバイデン氏にリードを許している。政治的に最も重要な経済指標である失業率は、新型コロナウイルスの流行を受けて跳ね上がっており、本選当日の時点でも、歴史的な水準に高止まりすることが必至だ。ロビー会社メルマン・カスタネッティ・ローゼン・アンド・トーマスの分析によると、現役大統領が再選を目指した過去15回で、選挙前に失業率が前年の水準を上回っていたのは3人だけだ。そして3人全員(ハーバード・フーバー、ジミー・カーター、ジョージ・H・W・ブッシュ)が敗北した。