ドイツ銀行は長らく、最も問題のあるグローバル銀行の1つという烙印(らくいん)を押されてきた。再建計画の策定から1年たった今、いくつか早期の成功を収めた同行は世界の大手銀行銘柄の中で最高の株価パフォーマンスを見せている。ドイツ銀の株価は、元が低いとはいえ今年19%上昇してきた(これに対し、欧州銀行株のベンチマーク指数は35%の下落だ)。収益を上げているJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス・グループといった米大手銀のパフォーマンスを優に上回る水準である。投資家とアナリストは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)もあって、何度も再編を図ってきたドイツ銀に対し強気になり過ぎないよう警戒している。多くのライバルに比べると株価純資産倍率はなお低い上、稼ぐ力や支出を抑える力がないことや欧州および米国での法的トラブルを抱えていることなど、問題は山積している。連邦準備制度理事会(FRB)は最近、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の弱さについて、あらためてドイツ銀を非難した。同銀は、ロシアとの関係やドナルド・トランプ米大統領とのビジネスについても厳しい視線を向けられている。