娘の「ぜにたむし」は
父親の「いんきん」が原因だった
ある日、マサオさん(仮名・45歳)が帰宅すると、家の中がおかしな雰囲気になっていた。妻は妙によそよそしく、話しかけても単語でしか返してくれない。中学生の娘は口をきいてくれず、時折、まるでバイキンでも見るような冷たい視線を投げかけてくる。小学生の息子はソワソワと落ち着かず、マサオさんを避けているように感じられた。3人とも、そばに寄ってきてくれない。
(一体どうなっているんだ)
いぶかりながらも食事を終え、「さあ、風呂にでも入るか」と努めて明るい声を出して立ち上がると、ソファに座ってテレビを見ていた娘がキッとこちらをにらみつけ、「パパ、汚いからもうお風呂に入らないでよ。私、大変なことになっちゃったんだから」と叫び、泣き出した。
「え、えー。なんのこと」
妻の顔を見ると、困った顔で教えてくれた。