アパレル企業では、セールから手を引く動きが見られる。多くの衣料小売企業が、在庫のかなりの部分を先のシーズン、もしくは来年まで持ち越し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後で値引きが必須の過酷なシーズンに販売するのを回避しようとしている。この選択はリスクをはらんでいるものの、より良い案のように思われる。パンデミックはある意味、利益率とブランド価値を守る措置を取るのにうってつけの特異な状況を生み出した。広範囲で店舗が休業していたことにより、今シーズン向けの在庫の多くは幸い顧客の目に触れていない。そしてこれは、2008年の景気後退時を一部教訓にした防御措置でもある。BMOリサーチのアナリスト、シメオン・シーゲル氏は「各企業が特売同然に商品を販売し始めたことがきっかけで、その後5年間が値引き競争の時代になったことが人々の記憶にある」と指摘。「価格競争が継続した結果、ブランド価値の低下などの後遺症がその後何年間も続いた」と述べた。