自動運転を支えるセンサー技術「LiDAR」の知れば知るほど深い世界次世代ボルボ車にルミナー社のLiDAR技術を搭載 Photo:VOLVO

LiDARの小型化進む
価格もどんどん安く

 自動運転実験車両に必ず装備されているLiDAR(ライト・ディテクション・アンド・レンジング、ライダーと呼称)と呼ばれるセンサーが一気に小型化へ向かっている。かつては高さと直径が、それぞれ30cmほどの円筒形で、車両のルーフ上に設置する360度回転式の全周スキャナーだった。現在は回転しないタイプや薄型のものが開発され、小型化も著しい。価格もどんどん安くなってきた。

 LiDARの意味は“光による検知と距離測定”である。レーザー光を周囲に照射し、その反射光をセンサーで捉えて画像化する。360度回転式のタイプは全周の測定が可能であり、1960年代に実用化された。開発当初は航空機に搭載して地形の記録や気象観測に使用されていた。最初期のLiDARは非常に高価で、しかも現在に比べると性能が悪かった。後に軍用のセンサーとして発展し、米軍が車両搭載用の小型軽量品の開発を民間企業に依頼した1990年代以降、小型化が進んだ。

 2000年代に入ると、米国防総省・国防高等研究計画局が主催する自動運転機能コンテスト、DARPAグランドチャレンジが注目され、ここに出場する車両のためのLiDAR開発が活発になった。その中の1社がヴェロダインで、同社が2007年のDARPAグランドチャレンジのために開発したLiDARが一躍脚光を浴びた。ヴェロダインはもともと米国のオーディオメーカーで、LiDARの開発は社長の趣味で開始したという。この分野で成功を収めた結果、オーディオ部門を売却し、LiDAR専門のヴェロダインLiDARを立ち上げた。