衝撃的だった10億円の赤字予想

 しかし、いずれの場合にしても、昨シーズンまでと同じようなスタジアムの光景は望めない。昨年度決算が承認された4月下旬、定時株主総会を終えた段階で厳しい見通しを明かしていた浦和レッドダイヤモンズ株式会社の立花洋一社長は、今月10日にオンラインによるメディアブリーフィングを開催。そこで、決して小さくはないインパクトのある数字を公表している。

「満員の埼玉スタジアムをなかなか見通すことができない状況が、私たちの経営の中で大きな課題となっています。昨年度は過去最大の営業収益を計上した実績がありますが、今現在では約20億円の減収が想定されています。収入を増やすためにいろいろな活動に取り組み、すでに成果も上がってきている状況ですが、それでも現状では10億円前後の赤字になる可能性があります」

 各クラブの決算がJリーグから開示されている05年度以降で、レッズが赤字を計上したのは10年度の一度しかない。その時の数字も2億6000万円で、11年度以降は9年連続で黒字を達成してきた軌跡を踏まえれば、赤字への転落も、そして10億円という数字も驚きをもって受け止められる。

 言うまでもなく、理由は入場料収入の激減だ。長年に渡ってレッズの入場料収入を支えてきたのが、Jクラブの中で最多を数えるシーズンチケットの購入者数となる。今シーズンも例年通り2万人ほど、昨シーズンの平均入場者数で言えば60%近くを占める購入者を記録した上で開幕を迎えていた。

「無観客および制限つきの開催となり、シーズンチケットを購入されている方が100%見に来られないことが分かったので、そうした状況を踏まえて払い戻しのリリースを出させてもらいました」

 シーズンが始まる前の段階で収入としてカウントできるシーズンチケットの代金を、9月頃から払い戻していく方針を立花社長は明かした。払い戻し申請の方法を含めた詳細を今月10日に公式ウェブサイト上で発表したことを受けて、前出のメディアブリーフィングが開催された経緯がある。

 一部の購入者が払い戻しの辞退を、要はシーズンチケット代金を寄付したいと申し入れている状況に感謝しながら、レッズは「全額辞退」と「半額辞退」を受け付けることも決めた。それでも、入場料収入の大幅な減収を余儀なくされてしまうと、立花社長は今シーズンの厳しい見通しを明かした。

「もちろん新型コロナウイルスを取り巻く状況がよくなり、100%の観客を動員できることを願っていますが、第二波、第三波の襲来といったところも考えなければいけない。その意味で昨年度は23億円だった入場料収入は現時点で13億円ぐらいに、要は10億円ぐらいの減収になると予想しています」