サガン鳥栖の竹原稔社長
サガン鳥栖の竹原稔社長。元スペイン代表のフェルナンド・トーレス選手を招聘するなど、ここ数年その手腕に注目が集まっていた Photo:AFLO

2019シーズンを戦った55のJクラブのうち、昨年度決算が確定している45クラブの経営情報がJリーグから先行開示された。19ものクラブが計上した単年度赤字の中で、突出した金額でサッカー界に衝撃を与えたのがサガン鳥栖だ。20億1400万円はクラブ史上だけでなく、情報が公開されている05年度以降のJリーグの歴史上でも群を抜いている。竹原稔社長の口から「存続危機」という言葉まで漏れた、鳥栖を取り巻く状況と今後を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

クラブ史上最悪の赤字転落

 赤字を計上しているJクラブは少なくない。Jリーグから27日に開示された経営情報では、19年度決算が確定した45クラブのうち、19ものクラブの当期純利益がマイナス、つまり赤字だった。その中でも文字通り桁違いの赤字に陥ったサガン鳥栖はどうしても目立つ。

 計上された20億1400万円もの単年度赤字は、クラブ史上最悪の額となるだけではない。全クラブの経営情報が開示されている05年度以降において、同年度のヴィッセル神戸が計上した10億5400万円をはるかに上回る、Jリーグ史上で最も巨額かつ不名誉な赤字となってしまった。

「天文学的な赤字を出しているので、存続危機という言葉が似合うのか、明日はあるのかという感じですけれども、これも経済だと思っています。サガン鳥栖というクラブが生き残っていくことを最大の目標に据えて、すべての可能性を模索していきたい」

 19年度決算が承認された、4月下旬の定時株主総会を終えた直後。鳥栖を運営する株式会社サガン・ドリームスの竹原稔社長は、オンラインで実施された記者会見で、神妙な表情を浮かべながらも、クラブ存続を前提に必死に前を向いていた。

 鳥栖の赤字は今に始まったことではない。18年度決算でも5億8100万円の赤字を計上していた。しかし、今回は危機のレベルが違う。経営状態がここまで悪化したのはなぜなのか。

 端的に説明すれば激減した収入に対して、本来は切り詰めるべき支出が逆に増えてしまったからに他ならない。

 例えば収入にあたる営業収益を比較すると、クラブ史上で最高額を記録した18年度の42億5700万円から19年度は25億6100万円へと激減。一方の支出にあたる営業費用は、43億9300万円から44億5900万円へわずかながら増えた。これでは巨額赤字は避けられない。