「大きな変化」に対応するため
「コア」を意識し、磨き上げる

 さて、ここまでの定年にまつわる話が、冒頭に書いた「新しい生活様式」への対応と、どう結びつくのだろうか。

 たとえば「新しい生活様式」では、オンライン会議やオンラインでの名刺交換などが推奨されるが、これまでのやり方にこだわり、新しい働き方を受け入れられない人もいるだろう。これは、定年後の再就職でもよくあるケースだ。前職で長年積み上げてきた実績や仕事のノウハウを捨て切れないのだ。

 しかし、「大きな変化」を前にして、そんなことを言ってはいられない。過去にこだわらず、新しいことを進んで試してみる前向きな精神を持つことが、「新しい生活様式」でも、「定年後」にしても、対応の大前提となる。

 それから、先述の「自分自身の総合力」は、自分というものの本質、「コア」と言い換えてもいいだろう。コアとは、その人の人間性であり、価値観、人生観でもある。

 たとえば他人とのコミュニケーションを得意とする人がいるとする。具体的には、プレゼンテーションの受けがよかったり、商談をすばやくまとめたり、といった目に見える能力がある。だが、ここで環境が変わり、プレゼンや商談の機会がなくなったり、やり方が変化したりしたとしたら、どうだろう。「新しい生活様式」では、リモートワークによってプレゼンや商談の方法は大きく変わる。

 それでも、別の機会や違うやり方でもコミュニケーションのうまさを発揮できればいい。しかし、そうでなかった場合、その人は、本質的にはコミュニケーションが得意ではなかったということになる。たまたま、以前のやり方でのプレゼンや商談の技法に優れていただけなのだ。

 本質的にコミュニケーションがうまい人の「コア」には、「共感力」があるのではないだろうか。共感力があり相手の立場になってものを考えられる人は、プレゼンを聞いている人がどう感じるかを洞察することができる。これは、ダイレクトに聴衆に語りかける通常のプレゼンであっても、リモートで画面越しにするプレゼンであっても同じだ。

 この共感力のような自分自身の「コア」を普段から意識し、磨き上げておけば、たやすく変化に対応できるのではないだろうか。

 本書には「人生の大変化」に対応するヒントが詰まっている。ウイズコロナの時代を生き抜くために、ぜひ参考にしてもらいたい。

(情報工場チーフ・エディター 吉川清史)

情報工場
営業本部長が定年後にクレーマーになってしまった根本的理由
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