もし彼らが何かを犠牲にしたり、妻や愛人のためにたゆまぬ努力をしたりすることを、さらさら考えてもいない場合、彼一人だけが、何一つ不満のない生活を送り、そのために少なくとも2人以上の人間が不満のある生活を、彼が原因で送ることになる。そしてこの、無自覚な「自分だけ得している」構造に、女たちが気付くのは時間の問題である。

 男も女も、禁止されていることをすると気分が高揚したり、興奮したり、最高に楽しかったりするのはよくわかる。私自身も、清廉潔白な生活を送ったことなんてない。

 しかし、悪いことをする人は、実は悪いことを全然しない人に比べて10倍も100倍も努力をしなければすぐに破綻する。破綻してこなかったとしたら、単にものすごく運がいいだけである。

 逆に言うと、妻に密告されたり、慰謝料を請求されたりすることと無縁で、トラブルなく「悪さ」を楽しんでいる男性たちは、自覚的であるにしろ無自覚であるにしろ、妻や愛人に、「普通の真面目なパートナー」がする何百倍もの幸福感や満足感を与えている場合が多い。

 もちろんそれが金銭であることもあるし、特別な趣味や最高のセックスだったりすることもあるだろうが、何しろ、「自分だけ得」にならずに「相手も得」な関係を作っているのだ。

 世間は「愛人も共犯なのだから被害者感情を持つのはおかしい」と怒るだろうし、それはある意味当然の意見なのだが、愛人を被害者気分にさせずに、幸福にさせて、親切にすることは、結果的に彼女たちの人間らしい行動の呼び水となり、家庭や仕事など自分の愛するものを守ることにもなる。