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ソーシャルディスラプト最前線

【新連載】ソーシャル上の"評判"によって、
既存ビジネスの基盤は、いかにディスラプト(破壊)されていくのか

岡本彰彦 [Recruit Strategic Partners, Inc. 代表]
【第1回】 2012年9月4日
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 なぜなら、見知らぬ誰かが入居してもペイバックされないからだ。それは常にSNS上の友人でなければならず、友人の信頼を保つためには滅多やたらな書き込みはできない。RentMineOnlineはソーシャルメディアを使ったこの巧みなシステムで、借り手側の仲介会社をディスラプトしようとしている。

ディスラプトする側になるために必要な条件がある

 AirbnbとRedfin、RentMineOnlineの三つの事例で、ディスラプトする側になるための条件というのがある程度、見えてくる。どのビジネスも

  • 業界の商習慣や慣行などに潜む不合理性を打破している
  • 消費者のために、という精神がビジネスの根底にある

 と言えるのではないだろうか。「不合理性」というのは、消費者の方を見ていないから生まれるものでもある。どうしたらもっとユーザーフレンドリーなサービスになるか、皆を幸せにするサービスとは何なのか、というサービス業が本来持つべき視点が、ディスラプトする側には必ずあるのだ。

 東海岸には、「今の銀行の仕組みはユーザーにとって扱いづらい」とその仕組みをもっとユーザーフレンドリーなものにしようとしている「Simple」というベンチャーも存在する。

 彼らは複数の異なる銀行口座を一つのアカウントで管理できるようにし、複雑な手続きのプロセスを簡素化することで、ユーザーのサービス利用体験をより良いものに変革しようとしている。

 そうしたベンチャーとは違い、大企業は急にはそのビジネス習慣を変えられないだろう。しかし、テクノロジーの進化に合わせて、ビジネスも進化しなければならない。スタートアップが消費者と向き合って古い仕組みをどう変えるかを考え、たった3人でそれを成し遂げるかもしれないとき、大企業は不合理性に立脚したままそれを潰すのではなく、自分たちもいかに消費者と向き合うかを考えるべきだ。大企業にはイノベーションのジレンマがあるが、少人数の社内ベンチャーによってそれを解決することができるし、スタートアップを買収するという手もある。

 スタートアップも大企業も、消費者に向き合い既存のビジネスモデルをどう“ディスラプト”するかに、その未来がある。

 次回からは、これらソーシャルディスラプトが起こっている現場や具体的なスタートアップ、さらにはキーパーソンへのインタビューなどを通して、さらに深くビジネス環境の変化を紹介していく。

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岡本彰彦
[Recruit Strategic Partners, Inc. 代表]

株式会社リクルートの投資会社であるリクルートストラテジックパートナーズの代表取締役として、コーポレートベンチャーキャピタルファンドを活用し、日本のみならず、北米、東南アジアをはじめとしたグローバルな投資·事業開発活動を推進する。現職就任以前は、銀行、ベンチャーキャピタル、証券会社などでストラクチャード·ファイナンスや新事業開発に従事した後、2007年にリクルートに入社し、主に同社住宅カンパニーにおける事業開発の責任者とブランドマネジャーを担当。

ソーシャルディスラプト最前線

Facebook、Twitterといった、いわゆる「ソーシャルネットワーク」が日々の生活にかかせないもの、あえて言えば"必須のインフラ"となったことで「ビジネス」の変化が急激に進んでいる。
電力インフラの整備が、モータリゼーションの加速が、パーソナルコンピューターの普及が、かつてビジネスの変化を決定づけたように、いま現在、「ソーシャル」はビジネスにどのような変化をもたらそうとしているのか?
実際にソーシャルを使ったビジネスで急激に成長するサービスを紹介しながら、その変化の兆しを探っていく。

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