知識・スキルを売買するアビリエでは「仮出品」を受付中。2月のサービスインが待たれる。

 もし、自分や他人が持っている知識やスキルが、ネット上で手軽に売買できたら――。そんな要望をかなえるサービスが2月に登場する。国内最大級のQ&Aサイトを運営するオウケイウェイヴによる、知識・スキル売買サイト「アビリエ」だ。

 これは、知識やスキルのECサイトと考えればわかりやすいだろう。すなわち、楽天やアマゾンで「物品」が売買されるのと同じように、アビリエでは、「知識やスキル」が出品され、売買される。その形態は、PDFや動画、音声、画像などの電子データだ。

 たとえば、ファッションモデルがウォーキングの方法を教える動画や、栄養士がダイエットの方法を教えるPDF、コンサルタントが売れるマーケティングの方法を教えるPDF、歌手経験者があなたの結婚式のために歌った動画、美大生が写真を基に似顔絵を描いた画像、アナウンサーが用意された原稿を読んだ音声データなどなど……。創出されるアビリエという場=プラットフォームでは、様々な知識やスキルに値札が付けられ、売り買いされることになる。

 今までそうした場がなかったわけではない。株やFXでの儲け方やネットビジネス成功術、美容・健康法、語学習得術などをPDFやDVDで売る、いわゆる「情報商材」と言われるものが流通する場は、ネット上に多数存在する。しかし、正直言って眉唾ものの商品が多いのが現状だ。筆者も取材と実益を兼ねて、「髪がフサフサになる方法」というPDFを2万5000円も出して買ったことがあるが、中身は実に陳腐で幻滅した。

 そんな商品が跋扈し、胡散臭さが付きまとう情報商材を、多くの人は知らないか、知っていても信用せず、手を出さないだろう。つまり、「認知」と「信用」が課題だったわけだ。

 その点を、アビリエはクリアしているように見える。まず、ソーシャルメディアの旗手として世の中に広く名が知れ渡り、株式上場も果たしているオウケイウェイヴが運営するという点で、一定の認知と信用が担保される。また、信用を高める仕組みにも余念がない。出品される知識やスキルは、同社の審査部によって審査され、値段と内容が伴わないものは落とされる。さらに、出品者のプロフィールが顔出し、実名入りで表示され、実際に購入した人のレビューも掲載され、購入者の質問や要望に出品者が対応する機能や、決済を代行するエスクローサービスなども備える。

 先ほどの「美大生が写真を基に似顔絵を描く」というスキルを売ることを例にとろう。美大生がスキルの内容をアビリエ上にアップロードすると、審査部が妥当性を吟味し、問題がなければ出品される。それを目にしたユーザーが、プロフィールやレビューなどをチェックした後に購入すると、代金は一時的にアビリエが預かる。

 その後、購入者は自分の写真を送信し、それを基に美大生が似顔絵を描き、画像データを購入者に返信。それに対し、購入者は修正を依頼するなど、美大生とのやり取りも可能だ。最終的に美大生から納品の連絡、購入者から成果物に納得したという連絡がアビリエに入れば、そこで初めて入金となる。要は、二重、三重の関門で、信用力を高めているのだ。

 さて、海外では「paygr」「fiverr」など、個人のスキルを売買するサイトはすでに立ち上がり、流通が盛んになっている。だが、アビリエはそれらを模倣したわけではなく、知識やスキルの流通市場を創設するのは、同社の兼元謙任社長の創業以来の悲願だったという。

「従来、Q&Aサイトなどでの知識の提供は無料だったが、有料にすればもっと付加価値の高い知識やスキルが出回るようになる。また、個人だけでなく、専門家や著名人、法人などの幅広い出品も促進していく。そうして知識流通を巻き起こし、新しい活力を日本全体に与えたい」(同社)。

 知識やスキルの価格は、出品者がいかようにも設定できるが、同社は平均5000円程度を想定。出品料は無料で、売買が成立すると手数料の40%を引いた金額が出品者の取り分となる。ちなみに、手数料には同社によるプロモーション費用も含まれるとのことだ。2月のサービス開始時点では、個人の出品からスタートし、3月には専門家、著名人の出品も始まるという。オープンから1年後の2013年2月からは、毎月5000件の新規出品を見込む。

 同社が草分けとして開設したQ&Aサイト「OKWave」やハウツーサイト「OKGuide」は、その後大手Yahoo!がそれぞれの類似サイトとして「Yahoo!知恵袋」「Yahoo!知恵ノート」を立ち上げ、市場が広がった経緯がある。知識やスキルの流通が大きなうねりになるには、他社の参入も必要であり、“アビリエ後”の大手の動向も注視したい。

(大来 俊/5時から作家塾(R)