手続き業務には、申請の受け付けや書類のチェックによる審査、問い合わせへの対応、お金の振り込みなど、多くの作業がある。どこの作業をどの企業が請け負っているのかもわかっていない役所が、それぞれの作業でムダに税金が使われていないかを精査できるのか。そんな疑念が、かえって深まった。

 野党側が色めき立つのも無理はない。この問題は「税金のムダづかい」にとどまらず、安倍政権の暗部を象徴するスキャンダルへと発展しつつある。

 政権に及ぼすダメージは「桜を見る会」や「検察人事」「河井夫妻逮捕」よりはるかに大きい。

コロナ対策でも「お友達重視」
「談合まがい」の入札

 その理由は主に2つある。

 1つは、安倍政権の特質でもある「お友達優遇」が色濃く出ている点だ。

 経産省は、委託先を決める際に入札をしている。参加を検討したのは、サ推協のほか、世界的なコンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーと、まだ名前が明らかになっていない1社。

 サ推協が競り勝ったわけだが、入札前に経産省はサ推協の関係者と3回も面談していて、その場に電通と電通子会社の社員も同席していた。経産省はほかの2社とも入札前に接触していたものの、それぞれ面談は1回しただけだった。

「出来レースだ。談合まがいじゃないか」(立憲民主党の大串博志氏)との野党側の追及に、経産省は反証できないでいる。入札は形だけで、初めからサ推協にやらせると決めていたのではという疑いが拭えないのだ。

 電通は選挙で自民党のポスターを手がけるなど、もともと同党に太いパイプを持つ。

 安倍首相夫人の昭恵さんは、電通に勤務した経験がある。また、サ推協の設立にかかわったパソナグループの会長を務めるのは、安倍首相が官房副長官や長官として支えた小泉政権で経済閣僚を務めた竹中平蔵氏だ。

 サ推協から電通と電通子会社を介して業務を割り振られたイベント会社のテー・オー・ダブリューも、首相補佐官と内閣広報官をしている経産省の長谷川栄一氏を顧問に迎えていた時期がある。

 長谷川氏は第1次安倍政権で内閣広報官を務めるなど、古くからの首相側近として知られている。
 
 政権と近しい企業が、おいしい仕事を優先的に割り当てられ、うまい汁を吸っているのではないか。コロナ禍のもとで収入が減ったり営業自粛を強いられたりしてきた多くの人たちにはそう映り、強い批判を招く結果になったといえる。