神社本庁Photo:Diamond

先月、安倍政権を支える政治団体「神道政治連盟」の大幹部でもある神社界の大物の訃報が飛び込んできた。表向きは病死とされるその死を巡り、神社界では今、さまざまな憶測や怪文書が飛び交う。死の直前、この幹部を刑事告訴する動きが水面下で進んでいたという。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

神社界の大物中の大物、突然の訃報

 5月20日付の新聞各紙が掲載した訃報に、全国の神社関係者が衝撃を受けた。

 盛岡八幡宮(岩手県盛岡市)の宮司で岩手県の神社界のトップ、岩手県神社庁長の藤原隆麿氏(66歳)が突然、死去したのだ。

 藤原氏の肩書はそれだけではない。全国8万社の神社を管理・指導する神社界の中枢、神社本庁では理事の要職。そして、憲法改正を推進する神社界の政治団体「神道政治連盟(神政連)」においては総務会長という四役の一角を務めており、神社界の“ドン”と言われる神政連会長、打田文博氏とも昵懇の間柄だったようだ。

 神政連は、自民党、引いては現政権との関係が深いとされ、その理念に賛同する超党派の国会議員連盟「神政連国会議員懇談会」の会長は安倍首相で、閣僚の多くが所属する。

 そんな現政権を支える神社界の大物中の大物の死因について、神社本庁は「存じていない」とし、岩手県神社庁は「心筋梗塞による病死と聞いている」とダイヤモンド編集部の取材に答えた。

 だが、複数の神社本庁や岩手県神社庁、盛岡八幡宮の各関係者によれば自殺だったという。直前には、盛岡八幡宮の宮司を休職、神社本庁や神政連にも辞表を提出しており、覚悟の上での自死だったのではないかと見られている。