私の個人的な行動範囲での感覚だが、チェックインとチェックアウトをしっかりと確認していたのは日系の「ユニクロ」だけだ。

 実際、タイの地元紙による5月21日の報道では、「タイは勝つ」は6万7904 店が登録し、507万7978人が利用者登録したという。そして、チェックイン数は858万4803回に対し、チェックアウト数は635万9921回。つまり、のべ約220万人がチェックアウトをせずに退店している。

 先の店頭における帳簿に関しても、ある理髪店で聞いたところ、「罰則は知りません。この帳簿を政府などに毎日、あるいは毎月提出するというわけでもありません。保健省が問い合わせて来たときに見せられるように記録しているだけです」と言った。

 結局、管理しているようでしていないのだ。

 いずれにせよ、QRコードはあまりにも不便で不評だったことから、結局タイ政府は5月28日にアンドロイド版、6月12日にiPhone版のアプリをリリースしている。

 そして、あれだけ不審がっていたタイ人たちも、「アプリ版はQRコードのように何度も読み取る必要がないので楽」として、アプリをダウンロードする人が増えている。

 個人情報を政府に差し出すことへの不安は依然としてあるものの、QRコードの不便さに利用者が根負けしたようにも見える。

 それが政府の狙いかどうかはともかく、「タイは勝つ」は今後、さらに多くの利用者を獲得することになりそうだ。

(タイ在住ライター 高田胤臣)