スマホを見る女性
この度リリースされる「接触確認アプリ」、コロナ予防として期待される半面、不安もある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

コロナ感染者への接触を通知
どんな仕組みのアプリなのか?

 自分が知らないうちに新型コロナの感染者に近づいていた場合にアラートが通知される「接触確認アプリ」について、安倍首相が14日、今週中にリリースを予定していることを公表し、菅官房長官は国民への利用を訴えました。

 実はこの仕組み、当初はべつに安倍政権が開発を始めたわけではありません。もともとは新型コロナのパンデミックが発生した当初、世界中のエンジニアたちがボランティアとして参加したオープンソース開発のプロジェクトに、そのアイデアがありました。

 その後、個人情報保護の問題を解決して安全性をどう高めるか、同じアイデアの違う規格のアプリが乱立して結果として役に立たなくなるリスクをどうするかが、課題になりました。この仕組みは、国民の6割以上が同じ(規格の)アプリを使っていないと成立しません。みんなが使っているからこそ、感染者が出た場合にその人と濃厚接触した人にアラートが通知されることの意味があるわけです。国民の1割しか使っていなければ、大半の濃厚接触についてはアラートが通知されず、見逃されることになりかねません。

 そこで、アップルとグーグルが共通のAPIを開発したうえで、それを利用できるのは1国1アプリにすることが定められ、乱立のリスクは回避されました。同時にアップルとグーグルにより、政府などがこのデータをサーバーに収集して国民の行動分析をすることが禁じられました。

 ここで各国政府は、この土俵に乗るかどうかの選択をしたようです。イギリス政府は国民の行動分析に関心が高かったようで、当初はこの共同APIからの離脱を表明しましたが、ブレグジットのときのようにはうまくいかなかった様子です。すぐに開発に行き詰まって、今は再びアップル/グーグルAPIに戻ってきたのではないかと報じられています。

 アプリは世界的に完成段階に来ていて、すでにスイスやドイツではダウンロードが始まっています。冒頭の安倍首相の発言のように、日本向けのアプリもリリース間近(6月17日時点)だそうです。ただ、本稿の最後にお話ししますが、このボランティアエンジニア集団が推進したアプリを安倍首相があたかも政府主導の政策であるかのごとく語っている点は、このアプリの未来に暗雲をもたらしているように、私には感じられます。