ドイツ首相・シュレーダーとビスマルク
これは元ドイツ連邦首相(1998~2005)のゲアハルト・シュレーダー(1944~)が出した「アジェンダ2010」を見ればわかりますが、シュレーダーは正規社員と非正規社員の差別をなくしました。
簡単にいえば「適用拡大」といいますが、社会保険料を全企業に払わせるようにしたのです。
これに対して、ドイツの中小企業の経営者は激怒。
「社会保険料を払ったら、うちの会社は潰れます。本気で潰す気ですか」と反対したのですが、シュレーダーはビスマルク(鉄血宰相、1815~1898)を持ち出し、国民を説得しました。
ビスマルクはこんな趣旨のことをいっています。
人を雇うことは、その人の人生に責任を持つ行為なので、その人が病気になったときや高齢になって動けなくなったときに、社会保険がなかったら持たない。だから、「社会保険料を払えないような企業は、人を雇う資格がないのだ」といい放ったのです。
すると、ドイツの中小企業経営者は、ビスマルクとケンカしたら負けると思い、泣きに転じたのです。
「おっしゃるとおりです。
でも、パートやアルバイトは給与が低い。
彼らに社会保険料を払わせたらかわいそうです」
すると、シュレーダーはこう答えた。
「そんなことはわかっている。
正社員からは5分5分でいい。
パートやアルバイトの社会保険料は企業主が全部負担しなさい」と。