株式相場Photo:Bloomberg/gettyimages

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 チャートに基づいて株価の動向を予想するのはティーカップの底に残った茶葉の形で未来を占うのに等しい、と思われることがよくある。だが、現在の株式市場では、いわゆる「テクニカル分析」は全く的外れというわけでもなさそうだ。

 今月の株価の乱高下からは、投資家心理が垣間見える。当初、相場の上昇が加速したのは、個人投資家が「ボロ株買い」に走り、コロナ危機で大きな影響を受けている企業の株を買い漁ったからだ。投資家は、破産申請をした米レンタカー大手 ハーツ・グローバル・ホールディングスが発行を計画した株式さえも買おうとした。ところが、6月8日を境に、相場は急落した。

 この反転に関してよく挙げられている理由は、新型コロナウイルス感染の第2波に対する懸念が再び強まったことだ。だがこれ以降、株価は完全にではないものの、値を戻している。

 完全に合理的とは言いにくいが、1つの理由で今回の激しい値動きの一部を説明できる。6月8日は、S&P500種指数が年初来プラスを回復した日でもあった。これは突破が困難かもしれない節目だ。

 このところずっと、株式市場が急騰する一方で経済が史上最大ともみられる一時的収縮に直面しているのは、明らかに大きな不協和音と言える。投資家は最善の結果を期待して押し目買いをしているが、それは前例のない積極的な財政・金融政策の展開によって安心感を与えられているからであり、ある程度までは納得のいくものだ。