幾つも危機が毎週のように襲来し続ける中で、ドナルド・トランプ氏の米大統領任期は、すでに疲弊し切ってはいないとしても、疲弊期に入ってはいるようだ。乾燥した大地を渡るハリケーンのように、トランプ政権は、好ましからざる状況下で渦を巻いて回転し、次第に勢力を弱めているようだ。トランプ氏の国内および海外での影響力は、彼の目標への賛同や彼の手法への称賛よりも、彼に反対した際に受ける打撃への恐怖を背景としている部分が大きいため、彼の政治的立場の弱体化は、外交面の権威の低下につながっている。トランプ氏の外交政策の世界で起きた最新の「爆発事故」は、ジョン・ボルトン氏が大統領補佐官(国家安全保障担当)時代の出来事をつづった592ページにわたる回顧録「The Room Where It Happened(それが起きた部屋)」の出版だった。この新著は、トランプ氏のこれまでの大統領任期がいかに混乱に満ち、論争の的になるものだったかを読者に思い起こさせるものだ。しかし同書はまた、トランプ氏か政界を去った後も、将来の米国大統領の在り方を規定するような、国際政治面の変化をも指摘している。
【オピニオン】「帝王的大統領制」はトランプ後も続く
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