この事案においては、前田長官が宿泊先のアパートを、自らの出費で確保したとされている。

 公務の出張において自らが確保した宿泊先に利害関係者を同泊させ、しかも連日パーティーを開催する、つまり会食をするというのは、国家公務員倫理法うんぬん以前に公務の出張との関係で説明がつかないのではないか(それとも出張命令にそのような記載があるというのか、それによって何か得られ、それが復命書などに記載されているというのだろうか?)。

経済産業省の人間の
「一つの習性」

 出張旅費については、規程で金額が決まっており、特に宿泊費は級に応じてきっちり決まっている上に、かかった実費を領収書をもって証明して後日精算する精算払いではなく、出張前に決まった額が支払われる概算払いなので、足が出ることもあれば(一応「日当」で調整することにはなっているが)、余ることもある(ちなみに筆者が次官級の出張に随行した時は、宿泊費は完全に足が出ていた)。

 従って、自ら確保した宿泊先の宿泊費に当該決まった宿泊費を充当するということ自体は特段問題はないものと考えられる。

 しかし、いずれもやましいことがないのであれば、関係文書を正々堂々と示せば済む話であるのだが、なぜ役人ならばすぐにでも思いつきそうな対処をしないのであろうか。

 まあ、経済産業省の人間というのは、「一つの習性」として、特定の分野で旗を立てようとして、若いころからその業界の人達と人間関係を築いておこうと、勉強会や飲み会を主催するというのはよくある話。

 ノンキャリの職員でも、自分は「○○人集めてこんな会合をやった」と自慢する人もいたぐらいであり、人を集めて何かやるのが好きだという人が多いのだろう。

 しかし、それも節度をもって行うことが当然の前提で、癒着が疑われかねないことは厳に慎むのが当たり前である。上に上がれば上がるほど、いつ誰から「刺される」か分からない世界でもあり、そうしたことにも厳に注意するのが当たり前である。

 前田長官は、ある種「典型的な経産官僚」であるということなのだろうが、「典型的な官僚」であれば、当然持ち合わせているべき慎重さや脇の固さが欠けていたということは、皮肉とも言えるのではないだろうか。