毎月10名は「出入り禁止」
婚活バーが神経をとがらせる理由とは

 「おや、女性のお客様が笑っていらっしゃる。しかも、背もたれに背をつけた状態で。どうやら、そちらのカップルはうまくいきそうですね。成立、と我々は呼んでいるんですが」と、エグゼクティブプロデューサーの本多有太氏。

 オープンは2008年3月。1年あまりも来店客を見守るうち、“成立”か“非成立”か、すぐに見分けられるようになったという。なるほど、よく見ているものだ。そういえばスタッフはそれとなくではあるが、客の様子に異変がないかつねに注意深く見守っているようだ。

 「トラブルがないか、いつも目を光らせていること」。

 この鉄則を守らなければ、「まじめなシングルズバー」は成り立たないと本多氏は言う。うさんくさい人物がまぎれこみ、あやしい営業を始めるかもしれないし、遊び目的の男性に女性がつけ狙われる恐れもある。完全予約制で、席数は58席。これより席数が多ければ、神経は行き届かなかったかもしれない。

 「じつはオープン当初、水商売風の女性が来店されたことがあります。あとから『さては営業目的だったか』と。たまたまこのときは、ターゲットになるような男性がいらっしゃらなかったのでよかったのですが。その後、現役のホスト、ホステスさんなどは入店をお断りしています。厳しくチェックしているので、今はあやしい感じの人はほとんど来なくなりましたが。それでも月に10名前後は出入り禁止にしていますよ」

 もっともそれは、「うさんくさいから」ではなく、「マナーに問題アリ」の人びとだからだそう。

 「たとえば、デリカシーのない男性。女性を目の前にして平気で『この子、合わないから変えてよ』なんて言う。女性でも、たまにおられます。鹿児島の幻の焼酎『森伊蔵』を勝手にオーダーしたり。女性のお飲み物は基本的に男性が支払われるのですが。とにかく私どもとしては、来店されるお客様に安心して会話を楽しんでいただきたい。そのためにもしっかりと気を配りませんと」

 本多氏が来店者の様子に神経をとがらせるのにはわけがあった。