中国のコーヒーチェーン、ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)は今年1月、ナスダック市場で株価が過去最高値をつけ、時価総額は120億ドル(約1兆3000億円)に達した。そのころ、複数のショートセラー(空売り筋)に謎めいた電子メールが送られていた。メールは「中国詐欺2.0の新世代が登場した」という内容で、「根本的かつ構造的に欠陥のある事業モデルとして始まった企業たちは、詐欺へと発展する」と書かれていた。発信者はラッキン店舗の顧客レシートやビデオを共有すると申し出、同社に関する長文のリポートを添付。空売り筋がこのリポートを公表して自社の功績としてもいいと述べた。ラッキンが売上高を水増ししていると批判するこのリポートに、複数の米資産運用会社が目を通した。マディー・ウォーターズのカーソン・ブロック氏は1月31日、89ページに渡る同リポートをツイッターに投稿。続いてラッキンの監査会社が、従業員数人が売上高と経費をごまかしていたことを突き止めた。ラッキンは4月2日、2019年売上高のうち最大3億1000万ドルが捏造(ねつぞう)されていたと公表した。同社株は上場から11カ月足らずで地に落ち、間もなく上場廃止となる。