全人代閉幕直後の記者会見でも、李克強国務院総理は「露店経済」に言及し、「西部のある都市では、現地の規範に基づいて、3万6000もの流動性の高い露店を置けるようにし、一夜にして10万の雇用機会を創出した」と胸を張って述べた。さらに6月1日、山東省を視察した李は、「露店経済」「小店経済」は雇用創出の重要な供給源であると指摘した。

 この2年、中国政府は市場経済の発展を強調しており、昨年の「政府活動報告」も、「市場」という言葉を多用していた。「露店経済」は「個人経済」のカテゴリーに属し、民営企業を発展させるという中国共産党の政策に適うものだ。

雇用創出の切り札
露店経済の4つのメリット

 こうして、「露店経済」は政府の“お墨付き”を得た形となり、上海、済南、鄭州、長春、杭州、長沙など27の都市で「露店経済」発展支援策が打ち出され、屋台を設置する場所を指定したり、交通の妨げにならないという前提で道での屋台経営を認めたり、審査期間を短縮したりしている。

 6月7日に中国共産党北京市委員会の機関紙である『北京日報』に掲載された「露店経済は北京には適さない」という記事は、「北京は首都であり、北京のイメージは首都のイメージ、国のイメージを代表する」「首都の基準で精緻化した管理を行うということは、北京はあるべき都市の秩序を保たなければならないことを意味する」と述べ、首都北京での露店拡大に「待った」をかけた。その影響か、露店の拡大ムードにややブレーキがかかったが、いつ完全に終息するともわからないコロナ禍の中で、ひとたび盛り上がった露店ブームは、当面続くものと考えられる。

 政府の方針だけでなく、近年「ナイトタイムエコノミー」が発展していることも、「露店経済」の発展に追い風となっている。各地の政府は「露店経済」と「ナイトタイムエコノミー」の発展をにらんだ政策を打ち出している。

「ナイトタイムエコノミー」は、主に若い世代向けの消費が主体となる。そのため、若い世代が何を望んでいるかを熟知している「90後(1990年以降に生まれた人)」らの若者にも、「露店経済」参入の道が開かれている。

 雇用創出の「切り札」的存在として期待されている「露店経済」だが、いくつかのメリットがある。