このところ、「根拠なき熱狂」が再び起きているのではないかという議論があちこちでされている――1990年代末のインターネットバブルの際に見られた株式市場の高騰だ。しかしデータをつぶさに検討すると、現状は当時の過熱とは程遠い状態であることが分かる。もちろん、だからといって株式市場が今後数カ月は下落しないというわけではない。ただ下落するとすれば、20年前と同じような投機の行き過ぎが理由ではないだろう。「根拠なき熱狂」という言葉はアラン・グリーンスパン氏が1996年12月に米連邦準備制度理事会(FRB)議長として行った演説の中で使ったものだ。グリーンスパン氏はイエール大学のロバート・シラー教授のコメントに促され、「根拠なき熱狂がいつ資産価値を不当に釣り上げているかをどうやって判断できるのだろう」と述べた。この発言は投資家の間でセンセーションを巻き起こし、その後何年も、市場の節目を示す株価チャートがメディアに掲載されるときは必ず、グリーンスパン氏の発言と発言の日付が載っていた。