スパイのスキルは「ビジネススキルの宝庫」だった!すばらしい実績を残したCIA諜報員におくられる賞を約10年の在職中に2度も受賞した著者が、訓練で身に着けたそのスキルの中から、ビジネスでも使える実践的な技を教える『超一流の諜報員が教えるCIA式 極秘心理術』がついに発売。
佐藤優氏「競争に勝つための表技と裏技が盛り込まれた、強いビジネスマンになるための必読書」と絶賛する同書より特別に一部公開します。

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「誠実な人」だけを見抜く方法がある

 日々、こんなニュースが流れてくる。ベビーシッターが預かっていた子どもを虐待する現場を押さえられた、中小企業の経理担当者が数十万ドルを横領していた、従業員が勤務先の店から数千ドル相当の商品を盗んだ……。こうしたうんざりするようなニュースは次から次へと報道されてはいるものの、私自身はこう固く信じている。

 99%の人たちは善良で、礼儀正しく、正直だ、と。

 そして私は、その99%の人たちと働きたいと思っている。

 幸い、私には、誠実で勤勉な人だけを採用するスキルがある。というのも、ご想像のとおり、諜報員は人間ウソ発見器と化す訓練を受けた結果、詐欺も察知できるようになるからだ。さらに一緒に仕事をしている仲間のなかには、この分野の専門家もいるため、盗人や不誠実な人間を採用するリスクを避けるノウハウの基本も熟知している。

この質問をした直後の3~5秒で評価せよ

 その人物を本当に信用していいのかどうか、どうすればわかるのだろう?

 私自身、これまでおこなった数々の面接で、一見、すばらしい人材のように思えた応募者と話をしてきた。だが、ある重要な質問を投げかけたとたんに、「ああ、この人は採用できない」と思ったことが何度もあった。次の質問をした直後の3~5秒で、その事実がわかるのだ。

「あなたが最後になにかを盗んだときのことを話してください」

 この質問の言い回しは慎重に考えられている。「なにかを盗んだことがありますか?」とは尋ねていない。「あなたが最後になにかを盗んだときのことを話してください」と言っているのだ。これは政府機関が新人を採用するときに尋ねる質問と同様のフレーズだ。

 当局は応募者を座らせ、「きみが最後にドラッグを使ったときのことを話してくれ」と言うのだ。たいていの人間は学生時代にマリファナを吸うといった愚行を犯していると考えているからだ。

 このように、その行為を「したかどうか」ではなく、「した」ことを前提に質問することで、相手はウソをついたり、ごまかしたりしにくくなる。

 そして、このときの応募者の反応が、返答と同じくらい重要な意味をもつ。大半の人間はすぐに返事をするので、正直かつ誠実に対応していることがわかる。そうした返答の大半は「10歳のときに食料品店でスナックバーを盗みました」とか、「小学生の頃、リュックに図書館の本を入れて、貸し出し手続きをしないで外にでました」とかいったものだ。

 なにかを盗んだ経験が、だれにだってあるのだ。たとえそれが、病院の診察室に置いてあったボウルから飴を余計にもらってきたという程度であろうと。

 それは子どもにとって、ごく当たり前のことなのだ。子どもはそうやって限度を試していく。そしてしだいに、悪いことをしたあとには、それが悪いことだったとすぐにわかるようになる。

 だから応募者がすぐに返事をして、「スナックバーを盗みました」と正直に話せば、私は及第点を与える。なぜなら、それはごく当然のことであり、それだけで危険信号が点滅するわけではないからだ。