中国の再生可能エネ政策Photo:VCG/gettyimages

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 中国は世界最大のエネルギー消費国であり、かつ最大の再生可能エネルギー生産国でもある。つまり、低炭素革命の成否は総じて中国にかかっているといえる。地球と投資家の双方にとって、その先行きは微妙な状況だ。

 再生可能エネのインフラ整備は、2010年代半ばと後半に失速していた。新型コロナウイルス流行を受けた景気低迷により、中国政府が財政刺激策を打ち出したことで、ここにきて再び盛り上がりをみせている。だが、中国は一方で、石炭火力発電所についても数年ぶりのペースで新設している。エネルギー・クリーンエア研究センターによると、6月初旬時点で建設中の石炭火力の発電能力は249.6ギガワット相当に上る。これは米国とインドの石炭火力発電所の合計を上回る規模だ。2020年初頭に認可された新規発電所は18、19年の合計数よりも多い。

 こうした状況を踏まえると、中国の再生エネは投資先としては難しい判断を迫られる。ゴールドウィンド(新疆金風科技)など、上場する風力発電タービン製造大手は目先、景気刺激策による需要増の追い風を受けるだろう。だが長期的には、再生エネと石炭の双方に巨額の資金が投じられていることで、すでに深刻化している電力セクターの過剰能力問題がさらに悪化し、将来の売上高の足かせとなりかねない。