新型コロナウイルスの感染者数が再び増えている。これは第2波だ、いやまだ第1波なのだ…などの議論も繰り広げられているが、緊急事態宣言が解除された今、個人の危機意識はさまざまに見える。街の声を聞いた。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)
コロナ第1波を終えた安堵と
高まる第2波への緊張
至る所にすさまじい爪痕を残している新型コロナウイルスだが、国内における第1波の感染拡大に限っていえば、緊急事態宣言の解除をもって一段落となった。各人の自粛をはじめとする努力が実を結んだ結果だろう。
しかし、こうしたパンデミックでは第1波のあとにやってくる第2波以降にも同様に警戒しなければならない。以前この連載で少し触れたことがあるが、1918年から流行したスペインかぜは第2波、第3波で被害が拡大した。同じインフルエンザ・パンデミックに数えられる1957年のアジアかぜも第2波の方が、致死率が高かった(高齢の感染者の割合が増えたのがその原因と考えられている)。
今回の緊急事態宣言が解除される前から、新型コロナ第2波のリスクに対して警戒が呼びかけられていた。これによって危機意識はある程度育まれたろうし、緊張感を持続させようと意識的に努めている人も多かろう。
とはいえ、危機感や第2波リスクへの理解度には個人差がある。緊急事態宣言解除の直後、あるニュース番組で「コロナかんぱーい」と祝杯を上げる若者たちの様子が映し出されていた。その中の一人が「第2波も心配されていますが」と質問され、「第2波、防いでほしいと思います」と決然と答えているのを見て、まあテレビのニュースは極端なところを取り上げるのが好きなので話半分くらいの気持ちで見るのがちょうどいいのかもしれないが、それくらいの認識や心構えの人もいるのだと改めて思わされ、テレビ側の思惑通り、まんまと興味深かった。第2波の感染拡大防止に向けて各人がどれくらい主体的に取り組むか、個人差は大きそうだと感じられたのである。
第1波をなんとか終えた安堵と達成感や、自粛疲れによる反動でいきなりコロナ前の日常を取り戻そうとする人がいる一方で、「まだコロナ禍の真っただ中だ」と自発的に自粛を続ける人もいる。危機意識の実態はどのようになっているのか、街の声を紹介したい。