自粛生活と名づけられてはいるものの、普段からインドア派の人にとってはこれまでとそれほど違わない毎日ではある。しかし、アウトドア派や、人と集まって明るく過ごすのが好きな人、いわゆる「陽キャ」や「パリピ」はどうなのだろう。年齢もタイプも異なる「陽キャ」に話を聞いた。(フリーライター 武藤弘樹)
緊急事態宣言解除後のパチンコ店
夢にまで見た銀玉の乱舞
緊急事態宣言が解除されてから数日後、近所のパチンコ店の前を通りかかると大変な盛況だった。なぜなら、その日にパチンコ店への休業要請が解除され、自粛期間中に忍耐を強いられた愛好者がたまった憤まんを発散させていたのだ。
緊急事態宣言に伴った自粛生活によって各人が感じたストレスは一様ではない。自粛、すなわち在宅であるが、元から自宅で過ごすのが好きな人にとって自粛は深刻なストレスにはならなかった。筆者もこちらの部類だが、このタイプの人たちは国から言われなくても勝手に自粛をしていた、というかむしろコロナ禍以前から自粛してきたようなものなので、改めて自粛を要請されても生活に大きな変化はなかったのである。
自粛が大きな負荷となったであろう人たちは、アウトドア派、特に人と明るく接して過ごすのが好きな陽気なキャラ、いわゆる“陽キャ”“パリピ”の人たちである。外にも出るな、人とも顔を合わせるな、であってはもう両翼をもがれた鳥であり、自粛生活は牢獄に監禁されたに等しかったのではあるまいか。
しかし、中には自粛など関係なく発散した“陽キャ”の人もいたようで、たとえば「コロナで周りに不幸があってつらいけど、暗くなってばかりじゃよくないので、みんなで前向きになりましょう!」と呼び掛けてBBQ(バーベキュー)を開催したケースがあった。会場を屋外に設定したところがせめてもの気遣いと察せられ、前提も同情に値するが、「だからBBQ」という結論は思慮不足と言わざるを得ない。当然炎上し、ニュースにまでなってしまった。
炎上すれば世間の目に留まるので、筆者もこうして言及できているが、いってみればこのBBQも氷山の一角だろう。世間の目に留まることなく開催されたであろう密な催しの数々を思えば、BBQがかわいく思えてくるほどである。
捨て鉢、あるいは無分別な“陽キャ”には自粛要請は何の効力も発揮しない。言い換えると、そうした“陽キャ”にとって自粛要請はつらいものではない。心配で、また興味がそそられるのは“苦しみながらもしっかり自粛している陽キャ”の人たちの生活である。
その実態を調査したので、対照的な2つのケースを紹介したい。