新型コロナ感染拡大による在宅勤務が普及する中、違法薬物に手を出す人たちが急激に増えているという。そこで、違法薬物の売人たちに話を聞いた。(ライター 根本直樹)
巣ごもり生活が生んだ
負の需要
「緊急事態宣言中、“薬局”は大繁盛だったみたいだな」
5月半ば、ある雑誌の取材でコロナ禍でのヤクザの生活ぶりについて、複数の暴力団関係者に電話していたときに聞いた話だ。
“薬局”とは覚醒剤などの違法薬物の仕入れや密売を主たるシノギとする組織を指す隠語だが、これが大盛況だったというのである。
暴力団関係者が続ける。
「自粛生活、巣ごもり生活でみんな暇を持て余していたのが大きい。居酒屋も休み、スナック、キャバクラ、風俗、パチンコ店も休業。楽しみが何もない。これじゃストレスがたまる一方だ。シャブがバカ売れしたのもうなずける話だよ」
人がアルコールや薬物に溺れる大きな要因に“ストレス”や“暇”、それに“孤独”がある。コロナ禍による自粛生活にはそうした条件がそろっており、ドラッグの類いは売れるべくして売れた、ということが言えるだろう。