「カタカナビジネス英語」の語源を探る、 アジェンダ、コミット、スキーム…カタカナビジネス英語の語源、いくつ知っていますか? Photo:PIXTA

最近のマスコミやビジネスパーソンの会話を聞いていると、流行のカタカナ語があるようです。言語語学者の立場から分析すると、バブルのころから特に米国にMBAを取りに留学したビジネスパーソンがもたらしたと思われる、少し専門的な語彙が増えてきているのが昨今のカタカナ語の特徴です。今回はそうした例をいくつか見てみることにしましょう。(ポリグロット外国語研究所代表 猪浦道夫)

証拠を意味するevidenceとproof
何が違う?

エビデンス evidence

 最近よく聞かれる「エビデンス」という言葉は、証拠、裏づけ、科学的根拠といった意味合いで使われています。「証拠」を意味する語には proof という語がありますが、これは疑問の余地のない確実な証拠を意味するのに対し、evidence は真実か虚偽かを示すものの完全には証明できない事実や情報を表します。

 同じファミリーの語としては、この単語より形容詞形の evident のほうが知られていると思いますが、単語のつくりはラテン語の動詞 videre(見る)に「外」を意味する接頭辞 ex- がついたもので、-ent は現在分詞、-ence は抽象名詞を作るフランス語形の接尾辞です。つまり「外に(はっきり)見えるもの」が原義です。