デスクの推測はこうだ。

 最初は京アニの作品に感動し、自分も他人に感動を与える作品を手掛ける側になりたいと憧れるようになった。

 そして小説を書くようになるが、自分がイメージする世界観を思うように文字で表現することができず焦燥するようになる。

 なかなかうまくいかない自分にいら立つが、京アニは自分が表現したい世界観を次から次へと発表する。

「あれが自分の描きたい世界観だ」という感情がどこかでおかしな方向を向き、そのうち「俺の世界観を京アニが真似(まね)たのだ」と思い込むようになった。

 そして、何とか小説を書き上げて応募し、受賞の知らせを期待したものの結果は落選(というか審査以前の問題)。

 その事実も「俺の(応募した)小説から盗用したに違いない」という妄想に拍車を掛ける一因になったのではないかというのだ。

 全国紙社会部デスクは「青葉容疑者は精神的に異常なのではなく、未熟なのだと思います。幼児が自分の思うようにならないことにいら立ち、責任転嫁したり、かんしゃくを起こしたりするのと同じじゃないかと思うのです」と分析した。

 確かに、青葉容疑者が住んでいたアパートは壁に穴が開き、パソコンは粉砕されていたと報じられている。

 思い通りにならないと物に当たり散らすのは幼稚性の表れだが、もしかしたら小説がうまく書けないいら立ちが理由だったのかもしれない。

 青葉容疑者は前述の動機のほか「ガソリンを使えば多くの人を殺せると思った」とも供述。逮捕された時、犠牲者が36人という事実を知らなかったらしいが、強い殺意があったのは間違いない。

 身勝手な妄想から一方的に恨みを募らせ、何の罪も非もないクリエーターに向けてガソリンをまいて火を放ったのだとしたら……。考えたくはないが、その可能性は高いだろう。

 事件から1年が経過しても遺族や京アニ関係者の無念や悲しみはなお深く、癒えるはずもない。

 犠牲者とご遺族、京アニ関係者に衷心より追悼の意を表します。