コロナ第2波でも死亡率低下から見える2つの事実と、あるべき対策データに基づく合理的な判断と中庸のバランスこそが肝要 Photo:AP/AFLO

 新型コロナ感染陽性者の急増で「第2波到来」といわれている。新聞やテレビなどメディアが感染者数を毎日センセーショナルに報道する一方で、重症者数や死亡者数は4~5月ごろとは様変わりの低位な水準にとどまっている。SNSや各種のネット媒体では、感染症の専門家から評論家や素人筋まで巻き込んで、感染対策優先の主張と経済活動回復優先を唱える主張が鋭く対立している。

 その対立の構図を大くくりにまとめると、感染対策優先を唱える方々は、足元の感染者急増がタイムラグを伴いながら重症者や死亡者の増加を結果し、このままでは大変な事態になると警告する。一方、経済活動優先を説く方々は、重症者数や死亡者数が極めて低位に推移していることを一つの根拠に、感染防止策の強化が経済活動回復を妨げることのデメリットを強調している。

 そうした意見の対立を背景に、陽性者数の再急増にもかかわらず、人工呼吸器を装着する重症患者数や死亡者数が低位で推移している事実の解釈も大きく分かれている。経済優先論者は「ウイルスの変異による弱毒化の可能性」「日本人の自然免疫対応強化の可能性」「PCR検査対象者拡大による軽症・無症状の陽性者の増加(若手・中堅年齢層の陽性者増加)」などをあげ、感染者数の増加のみに目を奪われるべきではないと主張している。

 反対に、感染対策優先論者は、弱毒化説や自然免疫強化説などは科学的に検証できる根拠がなく(特に感染症の専門家の多くはそのように指摘している)、重症者数や死亡者数はこれから増えるのだと(重症化・死亡の遅延説)危機感を強めている。

陽性者急増でも重症者・死亡者は低位のまま

 果たしてどちらが正しいのだろうか。筆者は金融系のエコノミストであり、もとより感染症は専門外であるが、この点について一般に公表されている限られたデータに基づいて、粗いながらも検証した結果を紹介しよう。