一方で、「よかったことはない」と答えた人や無回答も14人いました。そもそもきょうだいに対してネガティブな感情を持っているのであれば、「ない」という回答があっても不思議ではないのですが、そう簡単に分析できるものではありません。というのも、きょうだいのことを「とても好き」「やや好き」と回答している人で「無回答・ない」とした人がいたり、きょうだいのことを「とても嫌い」と回答した人が良かったと記入している人もいたりするのです。必ずしもつらい経験にもポジティブな側面があるとは限らないし、内面は複雑な感情があることがうかがえます。

「きょうだい児」を一括りにはできない
それぞれに合った支援が必要

 ほかにもコメントをいただいたので、ご紹介します。

「同じきょうだい児の立場の方のお話を伺ったり交流したりする場が増えていくといいなと思います」(20代女性・特別支援学校教員)
「親の皆さんには罪悪感を抱かずに、でも幼少期は大切なのできょうだい児問題にしっかり向き合ってほしいです」(30代女性・医療専門職)

 現在でも「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(全国きょうだいの会)」や一部の地域ごとのきょうだいの会など、きょうだい児支援団体があります。直接集まり、思いや悩みを共有するほか、最近ではSNS上で対話の機会を設ける団体や、子どものきょうだい児同士が集まり、指導者の下、レクリエーションやスポーツなどを行う場もあります。
 
 しかし、このような団体にあえて近づきたくないという当事者もいます。

「きょうだい児支援団体の多くは、つらい思いをした方や現在も苦しんでいる方々が主に交流を行う場であるような気がします。兄の事を大切に思って生きてきましたので、悲しく感じました。自分はきょうだい児支援団体の輪には入れない存在だと感じました」(20代女性・教員)

 筆者はこの方とは逆に「自分はポジティブなきょうだい児と打ち解けられないだろう」と思い、きょうだい会への参加を避けてきました。「きょうだい児」で一括りにするのではなく、考えや境遇がより近い人と集まりやすくなるといいのかもしれません。

「寂しい思いをしているけれど、なんだかんだ、きょうだいのことが好き」「我慢してきたけれど、家族なので愛している」…。きょうだい児の姿の多くはこのように描かれてきたと感じています。

 アンケートの結果、きょうだい児といっても一概には言えず、状況や環境などで思いも経験も異なることが見えてきました。さまざまな考えのきょうだい児がいるという認識を持った上で、どのような支援が必要なのか、社会で議論される必要があるのではないでしょうか。