「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなアプローチで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高い評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書のポイントをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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チャートには「節」がある――投資家が立ち止まる「株価の分かれ道」
窪田さんは、株価チャートには、「節(ふし)」があるといいます。
これは、多くの投資家が一度立ち止まり、売るか買うかを迷う価格帯を指します。
一度「節」ができると、株価はそこをすんなり通過しません。
まるで渋滞のように、売りたい人と買いたい人の思惑がぶつかるのです。
では、実際に『株トレ』に登場するチャートを見てみましょう。
あなたなら、次の2つの銘柄のうち、どちらを買いますか?
『株トレ』より
1000円が上値抵抗線に
A社もB社も、4カ月にわたって下落トレンドが続いていました。しかし、1カ月ほど前からようやく反発の兆しを見せています。
チャートをよく観察してみると、2社とも、約4カ月前、1,000円でいったん下げ止まり、売買高が急増していることがわかります。
「1,000円まで落ちたなら、割安だろう」と判断した投資家が買いを入れたのです。
1カ月ほどの攻防の末、最終的に売り手が勝ち、株価は800円まで下落しました。
1,000円で買った投資家たちは「しまった!」とチャートを見て後悔しています。
ところが、その後、株価は反発し、直近では再び1,000円近くまで回復しました。
ここで、ある現象が起こります。1,000円で買って含み損を抱えていた投資家たちが、こう思うのです。
「助かった。ここで売っておこう」
この「やれやれ売り」が、株価の上昇を押しとどめます。
つまり、1,000円が「上値抵抗線」になる。これこそが、チャートの「節」の正体なのです。
B社は節を突破した
ここでA社とB社の違いを見てみましょう。
『株トレ』より
A社は1,000円を超えられずに足踏みしていますが、B社は1,030円まで上昇。節を上抜けた可能性があります。
1,000円で買っていた投資家たちは、ようやく含み益が出て、「もう少し持ってみよう」と心理が変わります。
さらに、B社では売買高が増加し、新しい買いが次々と流れ込んでいます。直近の売買高を見ると、過去の1,000~1,200円の価格帯での売買高よりも多いことがわかります。つまり、「やれやれ売り」をこなしながら上昇していく余地があるということです。
これらの要素を全て踏まえると、A社よりもB社のほうが、今後上昇しやすい株だと考えられます。
次にあなたがチャートを見る際は、ぜひ「節」を探してみてください。チャートから読み取れる投資家たちの心理を考えることで、投資判断の精度を向上することができるのではないでしょうか。



