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物価高もあってモノを売りたくても売れない時代。なぜ街中には松竹梅といった三択のメニューや、980円などの中途半端な価格が溢れているのだろうか?実は、これらには私たちの購買行動を操るために巧みなトリックが施されているのだ。行動経済学の観点から、池上彰が解説する。※本稿は、池上 彰『なぜ人はそれを買うのか?新 行動経済学入門』(Gakken)の一部を抜粋・編集したものです。
モノを売るための
マジカルナンバーは3
私たち人間が瞬時に記憶できる情報量には限界があり、せいぜい3~5つとされています。この記憶にとどめやすい数のことを「マジカルナンバー」といいます。
日本三景とか五大陸とかいった括り方は、覚えやすいという意味でマジカルナンバーの原理に基づいています。
もちろん記憶の容量には個人差があり、瞬時に10のことを覚えてしまう人もいるでしょう。しかし、多くの人はそういうわけにはいかず、5つ以上になると「あと何だっけ?」と首をひねることになります。
では、ハードルを下げて4つ、さらにもうひとつ減らして3つならどうか。これなら、ほぼ誰でも覚えられるはずです。
この「3」こそが、じつは重要なマジカルナンバーなのです。
電話番号の表記が03‐××××‐××××と3つに区切られているのも、そのほうが覚えやすいからです。これが区切られていない、ただの数字の羅列だったら、とても覚えられません。
そこで商品をアピールする際も、仮に10の特長があっても全部アピールするのではなく、思いきって3つに絞ってみる。
他人の頭にインプットしてもらうべきは、つねに「3つ」と心得ておくといいでしょう。







