和製コンサル会社が語る、「デジタル変革」で失敗しない最も大事な心得4月1日付で社長に就任した鴨居達哉氏 Photo by Kazutoshi Sumitomo

コロナ禍を契機として急速に重要性が高まっている企業のDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル化による変革)だが、失敗談を多く耳にする。その要諦とは何なのか。日本発のコンサルティング会社であり、アジアを中心に13カ国・地域でビジネスを展開しているアビームコンサルティングの新社長に4月1日付で就任した、鴨居達哉氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 加藤桃子)

コロナで加速する「成功モデル離れ」
新たな仕組みにデジタルが必要な理由

――コンサルティング会社から見て、日本企業はどのようにコロナショックから回復しようと動いていると感じますか。 

 コロナ以前から、「従来の日本型成功モデルがこれからの成長の足かせになっている」と叫ばれてきました。

 日本企業に限らず、一定の成功を収めてきた企業には数々の工夫を積み重ねて作り上げてきた、「勝てる仕組み」があります。しかし、さらなる成長をするためには、新しい挑戦でこの仕組み自体を壊す必要があるのです。

 これは非常に勇気がいる決断ですが、ただ既存の仕組みを壊すだけではいけません。重要なのは「どこまで踏み込むのか」という角度なのです。

 企業経営者や、組織のリーダーは常にリスクと隣り合わせです。意思決定一つにも「新しい挑戦で生じるリスク」と、「現状維持で伴うリスク」が付きまといます。

 これらのリスクをてんびんにかけたとき、今や多くの経営者が「新しい挑戦をすべきだ」と考えはじめているのです。

 もちろん、企業によって取り組みの仕方はさまざまです。トップから強くアプローチして進めるトップダウンもあるし、現場からボトムアップで変えなければいけない場合もある。

 いずれにしても大切なのは、「議論をどれだけできるか」なのです。

 業種・業界にかかわらず、どの企業も今までの延長線上では発展性は見込めません。会社の仕事の仕方、評価方法、組織モデル、会社の仕組みそのものを変える手段として、「デジタルの力」が注目されていると感じています。