新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で死亡Photo:picture alliance/gettyimages

 仕事に関連して従業員が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で死亡したケースで、企業が遺族から訴えられる例が全米で出始めている。事業再開に伴う法的責任の側面で企業に新たなリスクを示すものだ。

 3月に新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が深刻化し始めて以降、ウォルマート、セーフウェイ、タイソン・フーズなどの企業や一部の医療施設が、重過失、不法死亡などで訴えられている。死亡した従業員の遺族たちは、企業が致死性のウイルスから従業員を守らなかったと主張し、家族への補償を求めている。新型コロナに感染したが回復した従業員も、治療費や将来の所得の補償、その他の損害の賠償を求めて訴訟を起こしている。

 こうした訴訟に対し雇用主側は、従業員の健康チェック、マスク着用の要請、職場の消毒、入店可能な客数の制限など、さまざまなウイルス対策を採ってきたと主張。一部の雇用主は、従業員がどこで、どのような状況でCOVID-19に感染したのかを突き止めることは、特に国内の感染がさらに拡大している現状では、不可能だと指摘している。

 新型コロナウイルスは、保健医療、経済の両面で世界的な危機を招いており、米国内だけで15万人以上を死亡させ、さまざまな資源や機関を圧迫している。

 多くの企業が何カ月にもわたって在宅勤務態勢を取ったり、営業を全面休止したりした後、通常営業を再開しつつある。そうした中、これらの訴訟は、あらゆる分野の米企業が今後次々に直面することになる法的責任絡みの訴訟の端緒にすぎない。